ボルドー格付けカロンセギュールのサードラベルが優秀だった件
先日開けたボルドーの赤ワイン「サンテステフ・ド・カロンセギュール 2015」。
その品質の高さに素晴らしく感動したので、ぜひご紹介したく記事にしました♪
正直、ボルドーの赤ワイン(特に左岸エリアのもの)は開け時に迷うこともあるのですが、このワインの2015ヴィンテージは今飲んで文句なしに美味しかったです。
ボルドーのちょっと良い赤ワインを飲んでみたい方は、まずここから始めると良いのでは?と感じました。
可愛いラベルデザインから贈り物としても人気のボルドーワイン。
その基礎情報や相性の良い料理などについてもご紹介していきます!
ワイン選びのご参考になれば幸いです。
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Contents
「サンテステフ・ド・カロンセギュール」とは
「サンテステフ・ド・カロンセギュール」はどんなワインなのでしょうか。
ここで生産者の基本情報や歴史、ボルドー地方の基礎知識などご紹介していきます。
生産者「シャトー・カロンセギュール」
このワインを手掛けるのはフランス・ボルドーの歴史ある生産者「Château Calon-Ségur」。
シャトー・カロンセギュールと読みます。
シャトーはフランス語で「城」の意味。
貿易で財を成し発展していったボルドー地方では、かつては貴族の住む邸宅(シャトー)に醸造施設を備え、敷地内の畑で育ったブドウからワイン造りが行われてきました。
ボルドー地方のワイナリー巡りをすると豪華絢爛な城が軒を連ねている地区もあり、「シャトー○○」という名前の生産者が多いのが特徴的です。
(そのようなワインは栽培から瓶詰めまで一貫して行ったことを意味し、ラベルにMis en Bouteille au Chateau=シャトー元詰めと記載がされます)
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カロン・セギュールと言えばハートが描かれたファースト・ラベルが非常によく知られています。
ボルドー地方・メドック地区の格付け3級ワインとして君臨し、このロマンチックなラベルのデザインも手伝って、男性が女性に愛を語る時やバレンタインに飲みたいワインとしても選ばれることが多いですね。
18世紀、このシャトーのオーナーだったセギュール伯爵は、現在の五大シャトーに数えられる「ラフィット」や「ムートン」、「ラトゥール」など名だたるシャトーも所有していました。
ルイ15世からは「ブドウのプリンス」と呼ばれるほどの名声を得るほどだった伯爵が、何よりも欲しがったシャトーが「カロン」(当時の呼び方)だったんだとか。
念願のカロンを手にしたセギュール伯爵によって、シャトーの名前が「シャトー・カロン・セギュール」に改められました。
後に所有していた複数のシャトーを手放すことになった伯爵は、自身の名前を冠したカロンセギュールだけは最後まで手元に残し、「我、ラフィットやラトゥールを造りしが、我が心カロンにあり」との名言を残したことは今でも語り継がれています。
ラベルに描かれたハートマークは、伯爵のシャトーを愛する気持ちを託したものなのです。
昔から評判の高いシャトーではありましたが、2011年に現オーナーに変わった後に行われた設備投資やブドウ樹の植え替えなどが成功し、現在ではメドック格付け3級の中でも筆頭格となっています。
*引用元はこちらの書籍です。
地域を代表する「一流ワイン」のエピソードが一挙に解説された本。フルカラーのワインボトルの写真を眺めているだけでも心ときめきますが、いつか1本ずつ試したいなぁと思わされます。
上記書籍の著者・渡辺順子さんのベストセラー「教養としてのワイン」はこちら。世界標準の最強のビジネスツールであるワインの知識が、初心者の方にも分かりやすく解説された1冊。
所在地はボルドー地方メドック地区
さて、シャトー・カロンセギュールは世界的銘譲地フランス・ボルドー地方のメドック地区、サン・テステフ村にあります。
上の地図からも分かる通り、ボルドー地方にはジロンド川という大河が流れ大西洋に注ぎ込みます。
(ちなみにジロンド川はドルドーニュ川とガロンヌ川が合流した川です)
ボルドー地方のワイン産地は川の周辺に広がっていますが、シャトー・カロン・セギュールがあるメドック地区はボルドー市(赤字でBORDEAUXと書かれた場所)の北側のエリア。
メドック地区のワインと言えば有名なのが「メドック格付け」なる制度です。
メドック格付け
1855年にナポレオン3世の発案によって制定された格付け制度。
同年に開催されたパリ万博で、世界中の人々へボルドーワインをアピールする狙いがあったようです。
当時1,000ほどあったシャトーの中から当時特に秀逸なシャトーを選出し、61のシャトーを市場取引価格を基準に1級から5級まで格付けしたもの。
シャトー・カロンセギュールは3級ワインの筆頭格です。
1級に格付けされた5つのシャトー(ラフィット、ムートン、ラトゥール、マルゴー、オーブリオン)は「五大シャトー」と呼ばれ、2級とは価格も名声も別格の存在としてワイン愛好家の垂涎の的となっています。
フランス人は格付けが大好きと言われていて、世界的グルメガイド・ミシュランガイドもフランスのタイヤメーカー「ミシュラン社」によって発売されたことからも伺えますね。
ボルドー地方にはおよそ8,000のシャトー(生産者)があると言われますが、地区ごとにシャトーの格付け制度が存在しているのです。
このように【シャトーの格付け】を行う例は他の産地では見られません。
つまり、ボルドーワインは「誰が造ったか(生産者)」が重要視されるということを示しています。
そういった意味では、信頼のおける生産者、自分好みのワインを生み出す生産者を見つけるのがボルドーワインを楽しむ流儀とも言えるかもしれませんね。
「サードラベル」のワインとは
とは言え、ボルドー格付けシャトーの「ファースト・ラベル」は、気軽に購入できる価格ではないのが実際のところ。
こちらがファーストラベル。
価格はヴィンテージでも異なりますが、2万円弱のものが多く見受けられます。
このようなワインを飲むには「飲み頃」やら「飲み方」やら慎重に考える必要があり、よっぽど日頃から飲み慣れていないと、なかなか手を出せないですよね。
一度は飲んでみたいけど、やっぱり自分には無縁なのかな。。。
と思った方へこんなご提案です。
格付けシャトーのスタイルを
まずは「セカンドラベル」や「サードラベル」で
気軽に試してみよう♪
実際に今回私が飲んで感動した「サンテステフ・ド・カロンセギュール」は、シャトー・カロンセギュールのサードラベルです。
シャトーの顔となるファーストラベルが概ね2万円弱なのに対し、セカンドラベルは3分の1ほどの価格。サードラベルはより手頃な4,000円台です。
サードラベルは、最も価格帯が抑えられながらも造り手(シャトー)のスタイルを踏襲した、親しみやすい味わい。
ファーストラベルともなると長期熟成が必要なタンニンの強さがあるのに対し、セカンド、サードとなるに従って飲み口が柔らかく早いうちから美味しく味わえるのが魅力でもあります。
【ファーストラベル】
各ワイナリーの顔とも言える最高品質のワイン。
原料ブドウの選別を厳格に行い、凝縮度の高い骨格ある味わいのため飲み頃まで10年以上の熟成を要するものも少なくない。
【セカンドラベル】
樹齢の若い樹から収穫されたブドウや、ファーストラベルの基準に達しなかったブドウが原料に用いられる。
ファーストラベルよりも飲み頃が早く親しみやすい味わいで、シャトーのスタイルを気軽に楽しむことができる。
【サードラベル】
最も軽やかで早いうちから楽しめるカジュアルなスタイル。
サードまで生産するシャトーは少なく、価格帯も最も手頃なため人気が高く品薄になりやすい。
ファーストラベルと比べると凝縮感や深みの部分で違いはありますが、普段は手が届かない一流シャトーのワインをカジュアルに楽しみたい方は、ここから試してみてはいかがでしょうか♪
サンテステフ・ド・カロンセギュールの味わい
今回はじめて開けてみたサードラベル。
ワイン名にある「SAINT-ESTÈPHE」はサン・テステフと読み、シャトーがある村の名前を指しています。
ヴィンテージ(ブドウの収穫年)は2015年。
ボルドー地方では天候に恵まれた優良年(グレート・ヴィンテージ)で、温暖で乾燥した気候のもと凝縮度たっぷりのブドウが収穫できたようです。
公式サイトによると、サードラベルには比較的若い樹が植えられている区画のカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロがバランス良くブレンドされているそう。
ワインを開けた日はすでにスパークリング→白→赤と一通り楽しんだ後。
酔い具合もなかなか良い感じではありましたが(笑)、グラスに注がれたワインの香りを取るやいなやハッと目が覚めるようでした!
セラーから出したてでまだ温度が低いにも関わらず、香り高さが満開。
良いワインに出会うといつもこうなるのですが、香りがすでに美味しくてずっと堪能していたくて、早く飲むことが勿体なく感じられてしまいます。
残しておいたテイスティングメモをご紹介しますね。
テイスティングメモ
【外観の印象】
芯のある深いガーネットの色調にくっきりした粘性。凝縮感を思わせる。
【香りの印象】
成熟したブラックベリー、カシス、タール、タバコ、クローヴ、ミント、枯れ葉のニュアンス
【味わいの印象】
凝縮度が高く豊か。熟れた果実の旨みと甘味、心地よい酸味が輪郭を引き締め、溶け込んだ緻密なタンニン(渋み)が心地よい。
香りの複雑さにベリーの豊かなフレーバーと上品な樽のニュアンス。
温かみを感じさせるコクある味わいで、一口ごとに充実感がたっぷりです。
サードワインについてよく表現される「フレッシュさ」とは少しギャップがあり、もっと深遠さを感じさせました。
ですが '15ヴィンテージは飲み頃としても花開いており、上質なボルドーワイン入門編として親しみやすいのではないかと思います。
何かと気難しさのあるボルドーワインの良さをしなやかに華麗に、最大限表現してくれるワインだなと感激しました!
適したグラス
このワインの良さを存分に堪能するなら、飲む時にもボルドーグラスだと理想的ですね。
おすすめグラス1つめは丈夫でフォルムもおしゃれなシェフ&ソムリエの「タニック」というタイプ。
名前の通り渋み(タンニン)の豊かなワインに適した形状のものです。
ワイングラスの定番RIEDEL(リーデル)も人気がありますね。こちらが一般的なボルドーグラスの形状です。
いずれも、フルボディで渋みがあり濃厚な赤ワインに適しています。
どのグラスで飲むかで同じワインでも全くの別物に感じられるんですよね。
せっかくの良いワイン、グラスのチョイスにこだわってみるのもとても大事です♪
相性の良い料理
相性の良い料理はなんと言っても肉料理。
牛ステーキや赤ワイン煮込み、ラムチョップなど赤身の肉、スペアリブなど、噛みごたえある肉料理と共に味わってみてくださいね。
ブルーチーズや熟成チーズなどの味の強めのチーズともよく合いそうです。
最後に
メドック3級の実力派シャトー「カロン・セギュール」のサードラベル2015年は、今開けても最高潮に美味しく、ボルドーワインの良さを実感できるポテンシャルを秘めたワインでした!
バレンタインデーや記念日の贈り物としてもぴったりです。
歴史ある一流生産者が手掛ける赤ワイン、一度体験してみてくださいね。
今回ご紹介の「サンテステフ・ド・カロン・セギュール」(サードラベル)はこちら
セカンド・ラベル
ファースト・ラベル
(*ワインの価格はそれぞれヴィンテージで異なります)
最新情報はLINEにて配信中です。
この記事を書いた人
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個人でワイン講師やオンラインショップ、ワイン通信講座など、ワイン事業を行っています。
「正しく」より「楽しく」ワインを飲める人を増やしたい。そんな想いで日々活動しています。
Instagram:@hiromi_wine
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