高級=美味しい?気になるワインと値段の関係
ワインって他のお酒ではあまり見られないような「値段の幅」があります。
1000円以下から高いものだと数万、数十万、中には100万を超えるものまで…!
でも、ふとこんな疑問を持ったことはありませんか?
普段飲んでいる1000円ちょっとのワインでも十分美味しく感じられるけど、高いワインって何が違うんだろう…?美味しさも何倍にも増すのかな…?
今日はワインの値段と「美味しさ」の関係についてお話したいと思います。
Contents
ワインの値段が高くなる要因
ワインの値段が高くなる要因はいくつかあります。
主には次のような点が挙げられます。
・需要と供給のバランス
・ブランド価値
・造る時の手間ひま、設備などの原価
このようなものです。
1つずつ順番にみていきましょう。
需要と供給のバランス
少ない生産量に対して欲しがる人が増えれば値段は自然とつり上がります。
一番わかりやすい例を挙げると、高級ワインの代名詞ロマネ・コンティは、年間約6000本しか造られません。
飲まれるより語られることの方が圧倒的に多い「ロマネ・コンティ」というワインは、フランス・ブルゴーニュ地方のヴォーヌ・ロマネ村にある畑の名前を冠したもの。
その「ロマネ・コンティ畑」は、広さ1.8haで歩けば5分ほどで回れてしまいます。
世界屈指の銘醸地ブルゴーニュ地方のワインは、中世の修道士によって発展したことで知られますが、当時の修道士によって優れたワインを生み出す区画を特級畑(Grand Cru グラン・クリュ)として厳密に区画分けされました。
ブルゴーニュの畑の階級分け(特級畑や一級畑)は現世にも引き継がれ、上級のワインほど高値で取引をされています。
ロマネ・コンティも特級畑のひとつですが、32ある特級畑の中でも紛れもない筆頭格で、恵まれた畑の生命力あるぶどうから「完璧な球体」と称賛される優美なワインが生み出されるのです。
…などと書いていますが、私自身もロマネ・コンティについては当然語ったことしかありません…。笑 一生に一度は飲めたら良いな…。
畑が狭く元々ぶどうの収穫量に限りがある上に、最高品質を極めるために生産量を抑えていけば、なおいっそう需要と供給のバランスから値段が高騰する点にも頷けますよね。
(それにしても現在は200万を超えていて、あまりに現実味のない価格ですが…。涙)
ブランド価値
特にワイン大国フランスに多く見られますが、有名な生産者が手掛けていたり、ワインジャーナリストによる評価が高かったり、世界的人気の一流ワインは値段が数万円するのは珍しいことではありません。
フランス・ボルドーの五大シャトーやシャンパーニュのドン・ペリニヨン、カリフォルニアのオーパス・ワンなどは、ワインに精通していない方にも知名度がありますね。
そしてもちろん、これらのブランド性が高いワインというのは、ただ名ばかり値段ばかりではなく、ブランド価値に釣り合う品質の高さがあり(じゃなければ飲み手からの信用を失って評価もガタ落ちしてしまいますよね)、
それが次に挙げるワインの価格が高くなる要因とも繋がってきます。
造る時の手間ひま、設備などの原価
ぶどう栽培や仕込みにかかる労力や手間ひま、設備費などの【原価】は、当然ワインの値段にも直接的に影響します。
効率を求めた大量生産型であれば農薬や化学肥料を使ったり、収穫時に機械を使用することで人的コストを削減することも可能ですが、
クオリティーの高さを重視したワインを目指すのであれば、休む間を惜しんで畑での地道な作業を行い、1粒1粒の実に栄養が行き届くようにあえて房の間引きを行い(収穫量を抑える=ワイン1本あたりの原価も上がる)、収穫も手作業で行うなど、相応のコストや労力をかける必要が出てくるのです。
また、畑の自然環境や地形などが厳しくなればなるほどに、ぶどう栽培も容易ではなくなりますし、作業効率も下がります。
すると、それもまた価格にも繋がってきますね。
これはワインに限った話ではないですよね。
食品だって有機農法やナチュラルにこだわれば値段は上がりますし、洋服だってハンドメイドであればユニクロのような低価格で大量に売ることは困難ですから。
値段と美味しさが比例するわけではない
ここまでお話したように、ワインの価格というのはボトルに詰めるまでの過程でどれだけのコストをかけたかに比例している場合がほとんどです。
さらには、流通や保存・管理等にかかる費用も私達の手元に届くまでに上乗せされたりもします。
値段が高いほど多くの場合は手間ひまやエネルギーが込められた、こだわりの強いワインということです。
「美味しい」の感覚や定義は人それぞれ
そして「美味しい」と感じるワインは人によって異なります。
Aさんにとっては最高でも、Bさんにとっては「ちょっと苦手…」という場合も大いにありえます。
食に関しても好みや嗜好は人それぞれですし、高級なフレンチのコースを毎日食べたいかと言えば決してそうではなく、海外から帰ってきた後にはご飯と漬物が最高のごちそうにだってなりますし、無性にジャンクなものが食べたくなることだってありますよね。
だから、「高級だったら良い」でもないですし、カジュアルなワインの方が相応しいよね、というシチュエーションもあります。
そして、飲み手の好みだけでなく、経験値によっても「美味しい」と感じるワインは変化していったりします。
特にヨーロッパのワインに多いですが、高級なほど味わいが繊細で複雑だったりして、あまり飲み慣れないうちに飲むとその良さを感じ取れないケースも往々にしてあるのです。
「まずは本物から試してみよう!」といきなりボルドーの五大シャトーを飲んでみても、その真価をキャッチしきれず「高級ワインってこんな物なの…?」と、かえってガッカリ…という事にだってなりかねません。
(私もワインをよく分かっていなかった頃にいただいた良いワインの写真を後から見返して、「勿体ない~~~」と苦い気持ちを噛み締めたことは数知れずです…。)
しかもそのようなワインは「飲み頃」や「飲み方」がより重要となってくるので、ここが万全に整っているかどうかでも感じ方が変わるんですよね。う~ん、ワインって本当に深いですね…!
初心者が「美味しい」と感じやすいコスパワインは?
自分が「美味しい」と思えるワインに出会うための一歩として、好きなぶどう品種を見つけることを推奨しているのですが、ビギナーの方であれば「ヨーロッパ以外のワイン」から始めるのが断然おすすめです。
なぜなら、これらの国(ニューワールドや新世界とも言います)のワインは、ヨーロッパのワインと比べても原価を抑え、値段の割に美味しいワインを造りやすいから。
特にチリやオーストラリア、南アフリカなどはコスパに優れたワインが見つかりやすかったりもします。
その理由は
- 産地の歴史が比較的新しくヨーロッパのようなブランド価値が薄い(逆にこれから発展していく可能性も十分に秘めています!)
- 気候に恵まれ栽培がしやすく(人的コストを抑えられる)、ぶどうが熟しやすいのでフルーティーで分かりやすい美味しさのワインが多い
- 土地や人件費、(特にチリでは)関税が抑えられる
などといった所が影響しています。
なので、同じ2000円のワインを買うんだったら、ニューワールドのワインを選んだ方が、まだ経験の少ないビギナーの方にとっては外しにくい選択なのではないかと思われます。
まとめ
ワインは「高級=美味しい」ではありません。
安くても掘り出し物のコスパワインを見つけられるのがワインの魅力でもありますし、初心者の方であればむしろリーズナブルなワインの方が分かりやすく美味しいと思えるワインが多いかもしれません。
かと言って、「だったら私は安いワインをずっと飲み続けていれば良いや♪」では、あまりに勿体ない…!
造り手のこだわりや情熱、想いのこもったワインを、じっくり味わいながら堪能する。
少しずつ知識や経験を積み上げながら「思考」しながらワインを飲む。
このような時間を紡いでいけるのがワインの醍醐味であり、忘れ得ぬ大切な思い出が増えていくはずです。
まずは自分が美味しと思える身近なワインから親しんでいって、ある程度自分の中での基準ができてきたら500円、1000円と段階的に値段を上げていってみましょう♪
「あ、、たしかに違う…!!」と新しい世界観が広がるかもしれませんよ。
今日の記事はここまでとなります。
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この記事を書いた人
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個人でワイン講師やオンラインショップ、ワイン通信講座など、ワイン事業を行っています。
「正しく」より「楽しく」ワインを飲める人を増やしたい。そんな想いで日々活動しています。
Instagram:@hiromi_wine
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