ワインの「樽香」とは?ワイン造りに樽を使うと生じる香りや味の違い


「樽香がしっかりしたワイン」とか「樽熟成」という言葉をよく聞きます。
ワインの「樽香」ってどんな香りのことを言うんですか?
そういうワインはどうやったら見つけられますか?



このような疑問を解消する記事です。


ワイン造りに木製の「樽」を使用すると、ワインの香りや味わいに特有の個性をもたらします


ワイナリーに樽がずらりと並んでいる光景を見たりイメージに沸きやすい方も多いのではないでしょうか?


またワインの香りを表す言葉として、「バニラ」「樹脂」「ココナッツ」「コーヒー」などと聞いたことがある方もいるかも知れません。



今日の記事では、「木樽」に関する次のポイントについてまとめます。


・樽香がするワインってどんなもの?

・樽を使うことでの香りや味わいの変化

・木樽以外の容器について

・おすすめワイン
.


ワイン造りに用いられる「木樽」について理解を深め、個性の違いをもっと楽しめるようになりましょう♪


【この記事の執筆者】

ワインを愛するソムリエワイン講師。

2010年ソムリエ取得後もワインを学びニュージーランドでのブドウ畑での仕事も経験。

初心者でもワインは十分に楽しめる♪
ワインを知ることで広がる食事や人生の豊かさを伝えるべく、現在は当ワインメディアの運営と講師業をメインに活動しています。


2019年ストアカワイン講座No.1&トップレビューを獲得、2020年ストアカアワード優秀講座賞を受賞&トップレビューを獲得しました。


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それではさっそく見ていきましょう。


樽香がするワインってどんなもの?

フランス・ボルドー地方「シャトー・レオヴィル・ポワフェレ」にて



「樽香(たるこう)」がするワインとは、木樽由来の【香ばしさや【甘やかさが感じられるものを指します。

(具体的な香りは後述します)



ワインはブドウを「発酵」させた後、味わいを落ち着かせたり、より複雑な風味をもたらせるために「熟成」させてから出荷されるお酒です。


その際にどんな入れ物に入れて発酵や熟成をさせるか


木製の樽を使うかどうかで、ワインの風味に変化が現れてくるのです。


「樽香がするワイン」とは、【木製の樽】を使って発酵や熟成を行ったワインから感じられるもの。
ということになりますね^^


木樽が使われるようになったのはローマ時代



もともと樽は、ワインを貯蔵するための容器としてローマ時代に使われるようになりました。


ギリシャ時代からローマの初期までは、ワインの貯蔵と運搬には「アンフォラ」と呼ばれる陶器の細長い壺が使われていました。


ところが、樽を使った方が破損もしないし大量の運搬にも便利ということに気がつき、樽の使用に切り替えたのです。



ワインを樽貯蔵することでワインの風味が良くなることに気がついたのは、後になってから。


樽とワインは切っても切れない関係になっていきました。



参考書籍

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樽を使うことでの香りや味わいの変化



ワインの貯蔵や熟成に木樽を用いると、主に次のような香味が感じられるようになります。

・バニラ

・ココナッツ

・スモーキーな香り

・コーヒー

・スパイス(クローブやシナモンなど)




木樽に含まれる香り物質がワイン中のアルコールによって溶け出し、香ばしさや甘さがワインに「付与」されるのです。



若いワインから多く感じられる香りとしてフルーツ(柑橘系や南国果実、赤や黒の果物など)のフレーバーが挙げられますが、ここに樽からくるニュアンスが足されることで、より複雑さを感じさせるようになります。



また味わいにも深みやコク、複雑みが増したり、ワインの色調も濃くなります


樽の使用年数・樽の産地による違い



樽由来の香りのつき方、樽の使用年数や樽に用いられるオーク材の産地によっても変わってきます



「新樽」と呼ばれる1年目のものほどはっきり分かりやすく“樽のニュアンス”が感じられますし、数年使用していくと樽香のつき方はほんのり上品になったりと。



また「樽の産地」であったり、樽をつくるメーカーによってもワインへの特徴の出方が変わってきます。



香りがより強いとされるのは、フレンチオーク樽よりアメリカンオーク樽の方です。


そしてメーカーで樽をつくる際に、樽の内部をどれくらい強くトーストするかでも個性は異なってくるのです。

樽ひとつとっても産地や使用年数、メーカーで変わってくるのは奥深くて面白いですよね!


木樽以外の容器について



ところで、木樽を使わないとなると他にはどんな容器が用いられるのでしょうか?



「ワイン造りといえば木樽を使うもの」

というイメージを持たれている方がとても多いですが、実はそれだけではありません。



木樽以外でよく見かける容器がステンレス製のタンクです。


木製のものより衛生管理や温度管理がしやすく、樽のように木材から抽出される成分がない分、ブドウそのものが持つ香りや個性を引き立たせたワインに仕上がります。


果実の風味が主体のピュアな味わいとなり、フレッシュ&フルーティが持ち味の白ワインにも多く見られます


おすすめワイン



同じ原料ブドウを使っていても発酵や熟成の際にどんな容器を使うかで仕上がるワインの個性が左右されます。



ワインの醸造や熟成方法によって、香りや味わいに影響がもたらされるのは興味深いですよね。



ちなみに樽使用の有無はラベルには書かれていないことがほとんどです。



そのため、お店の方にリクエストするのであれば「樽がきいた白/赤ワイン」と伝えたり、ワインの説明文の中に「樽熟成」「オーク樽」などと書かれているかをチェックするのが良いでしょう。


ここで樽風味が感じられるワインをご紹介しますね。



▼白ワイン(カリフォルニア産/シャルドネ)

アメリカでは熱烈な人気で年産100万ケースを売り出すワイナリー。ステンレススチールタンク醗酵50%、残りの50%が樽醗酵。リンゴや洋梨とトーストしたスパイスの風味。リッチで複雑、美味で熟した果実味豊かなシャルドネです。


↑ローストアーモンドの香ばしいニュアンスが感じられるコクのあるシャルドネ。
しっかり熟した豊かな果実味とクリーミーさやコクを感じるリッチな白ワインです。




赤ワイン(カリフォルニア 産/カベルネ・ソーヴィニヨン)

ブルーベリーの香り、絹のような舌触り、そしてシナモンやバニラモカを想わせる余韻が魅力。収穫された畑によって別々の樽で熟成されたバランスの良い赤ワインです。


↑先日のチーズセミナーでもチーズとのマッチングを楽しんだワイン。
樽のニュアンスが豊かな果実味の中に上品に溶け込んでいました。




そして、常に人気記事上位に君臨している↓こちらのボルドーワインも樽の要素がしっかりと感じられるおすすめワインです。

ボルドー シューペリュールとしては、群を完全に超越する圧倒的クオリティ。 この価格帯ワインとしては超異例。神の雫 亜樹直 直筆サイン、ポエム入りバックラベル。




樽の効いたワインを飲みたい時の参考になれば幸いです。


おすすめワインを見つけたらこちらのページにも追加しますね♪
今日の記事はここまでです。



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この記事を書いた人

佐藤 洋美
佐藤 洋美Delight-Full Wine代表
個人でワイン講師やオンラインショップ、ワイン通信講座など、ワイン事業を行っています。
「正しく」より「楽しく」ワインを飲める人を増やしたい。そんな想いで日々活動しています。
Instagram:@hiromi_wine