ワインはなぜブドウから造られるの? 〜ワイン発展のルーツを探る〜
ワインってなぜブドウから造られるんですか?
他のフルーツから造られたお酒はワインとは言わないのかな?
ワインがブドウを原料としてここまで発展した理由を知りたい!
このような疑問を解消する記事です。
ワインはブドウ100%で造られたお酒ですが、そもそもなぜブドウから造るようになり、これだけ世界に広まり発展してきたのか。
その理由に迫っていきます。
ワインの理解はブドウという植物の特性や歴史を知るところから。
今日はワイン発展の背景を探っていきましょう。
この記事を読むことで、ワインへの理解がいっそう深まれば幸いです。
それではさっそく見ていきましょう。
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Contents
ワインの定義
まず最初に、ワインの定義について確認しておきたいと思います。
ワインはブドウを原料としたお酒
ワインは新鮮な生のブドウまたはその果汁を発酵させて造った飲料
(1970年フランス政府発令・カイヨ法)
ワインの定義は、フランスの”カイヨ法”によって初めて法制化されました。
以後、これがヨーロッパのワイン産地に定着し、世界各国のワイン法の基本ともなっています。
つまり、諸外国の法制度では、ブドウ以外の果物から造られたお酒は「ワイン」と名乗ることはできないということ。
一方、日本にはワイン法がなく、ワインは酒税法の管理下で「果実酒」に分類されています。
ブドウ以外の果物を原料にしたお酒も「ワイン」と名乗ることができ、「苺ワイン」「キウイワイン」などといったお酒を見かけるのはこのためです。
ですが、世界基準で見ればワインは「生のブドウまたはその果汁を発酵させて造っていなければいけない」ので、それにならい日本でもワインと言えばブドウを原料にしたものとして語られるのが一般的です。
ブドウ以外から造られたお酒を「ワイン」と呼ぶ日本の例は、実はちょっと特殊なんですよね。
ワインがブドウから造られる理由
ワインがブドウから造られ発展していった主な理由として考えられるのは、これらのポイントです。
- 生命力のある植物だから
- キリスト教との結びつきが深いから
- 他の果物と比べ圧倒的に糖度が高いから
- 多様な個性を持ったお酒を生み出せるから
ひとつずつ詳しく紐解いていきます。
生命力のある植物だから
ブドウは痩せた土地でも育つ植物で、その生命力と繁殖力から世界の多くの地域で生息できたことがひとつの要因として考えられます。
表土に水分や栄養をたっぷり持った肥沃(ひよく)な土壌ではなく、痩せた土壌であるほどブドウの樹にストレスがかかり、養分を得るためにグングン地中深くに根っこを張っていきます。
これにより、ブドウの実ひとつずつに栄養素が届き、より凝縮度の高いものへと育っていくのです。
ワイン用ブドウには一般的に水はけの良い土壌、そして「地中海性気候」のエリアが最も適していると言われます。
この気候の特徴は次の通り。
地中海性気候
温暖だが夏は暑く乾燥しており、冬は雨が多い気候。地中海と名前がついているものの、アメリカやオーストラリアなどでも使われる気候の表現。
引用書籍:ワイン基礎用語集/柴田書店
中東(現在のジョージア)のあたりが発祥と言われるワイン造りは、トルコやエジプト、ギリシャを経て、地中海に囲まれたイタリア全域、そしてフランスへと広がっていきました。
蔓性植物であるブドウは繁殖力があり、ブドウ果実が成熟する夏場の日照量が多く乾燥した気候の地中海沿岸に根を張り、生息地を拡大していったのですね。
キリスト教との結びつきが深いから
ワイン発展の背景として、キリスト教との結びつきを無視することはできません。
「このパンはわが肉、このワインはわが血」
弟子ユダの裏切りによりイエス・キリストが十字架に打ち付けられる前夜、キリストが弟子12人との最後の晩餐で残した有名なこの言葉。
“キリストの血”という、この上ないほどの権威をまとったワインは、キリスト教の儀式において必要不可欠な存在となっていきました。
476年に西ローマ帝国が滅び中世の時代に移ると、キリスト教の勢力が強まると同時にヨーロッパの人々の間にワインが浸透していき、ブルゴーニュの修道院を筆頭にさらにワインが発展していきます。
「自分たちにとって重要なワインだから、自分たちで造る」
このような考えのもと、各地の修道院が現在のワイナリーのような役割を果たしていたのです。
「ワインはわが血」とまでキリストが宣言したことで、キリスト教とワインは密接で切り離すことのできない関係になったのですね〜。歴史とワインの結びつき、とても興味深いです!
他の果物と比べ圧倒的に糖度が高いから
ブドウは他の果物と比べて抜群に糖度が高い点も大きな特徴で、それがワインの味わいにおける魅力や発展にも寄与したと考えられます。
ワインはブドウがアルコール発酵してできた「醸造酒」。
アルコール発酵は、酵母菌が「原料に含まれた糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する」というメカニズムです。
つまり、アルコール度数の高さは原料ブドウの糖度に比例するように上がっていくということ。
ワインのアルコール度数は12〜14%のものが一般的で、度数が高いほどただ単に酔いやすいだけでなく、味わいのコクや飲みごたえにも繋がってきます。
アルコール度数10%以上のワインを造る時、原料ブドウに必要な糖度の高さは20度。
これだけの糖度の高さを持つフルーツはワイン用ブドウ以外に類をみません。
アルコール度数が高く飲みごたえあるワインは、コクのある濃厚な料理に合わせた時にも良いバランスになります。
他の果物には出せない圧倒的な糖度の高さによって、安定的にアルコール度数のあるお酒を生み出せる。
フランスの王族・貴族にワインが愛された背景には、しっかりしたソースのフランス宮廷料理にもワインがよく合った、という点も考えられますね。
ワイン用ブドウの糖度、こんなに高いのかと驚かされますよね!
この糖度の高さによって食事にもしっかり寄り添うお酒が生まれるのです。
これを機に、ワインのラベルに書かれたアルコール度数を見るクセをつけてみてください。
12%のものと14%のものでは、口の中に広がるボリューム感や濃厚さが全く違うのを実感できるはず。
多様な個性を持ったお酒を生み出せるから
ワインの魅力のひとつは味わいの多様性。
多彩な個性を持つ原料ブドウが、世界各地の多様な気候風土で育まれ、さらには同じ原料ブドウを持ってしても造り手によっても仕上がるワインの味わいは変わります。
また、ワインは瓶詰めされた後にも「熟成」という変化を遂げていきますから、飲むタイミングでまた違った表情を見せてくれたりします。
個性の幅が広く熟成の可能性も持ったお酒ですので、世界中の様々な料理に合わせられる点も大きな魅力でしょう。
ワイン発展の背景には食文化との関わりも関与していますね。
最近では国境を隔てて、ひとつのジャンルの料理に対して様々な国のワインを合わせるようにもなりましたね!
和食にもフレンチやイタリアン、エスニックにもワインを合わせることができるワインの個性の多様性が、日常の食生活をより豊かにしてくれます。
まとめ
ワインがブドウから造られ、古くから現代まで発展してきた要因について探ってみました。
改めてワインがブドウから造られる理由をまとめると、、、
- 生命力のある植物だから
- キリスト教との結びつきが深いから
- 他の果物と比べ圧倒的に糖度が高いから
- 多様な個性を持ったお酒を生み出せるから
このようなポイントとなります。
ブドウの生物的な特徴、キリスト教との関わり、味わいの多様性が主な考察でした。
他にこんな要因もあるんじゃないかな?というのがあれば、ぜひご意見お寄せいただければとても勉強になります。
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あなたのワインライフが一層豊かなものになれば嬉しいです!
それではまた書きますね^^
この記事を書いた人
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個人でワイン講師やオンラインショップ、ワイン通信講座など、ワイン事業を行っています。
「正しく」より「楽しく」ワインを飲める人を増やしたい。そんな想いで日々活動しています。
Instagram:@hiromi_wine
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