ワインを「フランス」から学ぶべき理由(講座レポ付き)
ワインと言えば「フランス」のイメージが強いです。
そしてワインの本を開くとフランスに多くのページが割かれているけれど、なぜなんだろう?
ワインを知るならやっぱりフランスから始めるのが良いのかな?
こんな疑問を解消する記事です。
ワインはヨーロッパに限らず、アメリカや南米、オセアニアやアフリカなど、実に多くの国で造られています。
日本でも多くの土地でワインが生まれ、世界各国のワインを気軽に楽しむことができますね。
そんな世界中のワイン産地の中で、ワイン入門本などでもフランスが真っ先に取り上げられるのは、なぜなのでしょうか?
この記事では、ワイン大国として真っ先にフランスの名前が挙げられる理由をお話します。
フランスワインが世界のワイン産地の中でも圧倒的な地位を確立した理由が分かると、フランスワインへの興味が増すきっかけにもなるはず。
先日開催したフランスワイン入門レッスンのレポートや、人気ワイン情報も合わせてどうぞ♪
それでは早速みていきましょう。
Contents
量・質ともにトップのワイン王国
フランスの国土は日本の約2倍ありますが、北部を除いた広大なエリアでワインが造られています。
ワインの年間生産量は、毎年イタリアと1位か2位を争う文字通りのワイン王国で、量だけでなく品質の高さにおいてもフランスの右に出る国はないと言われます。
手頃な価格のものから高級なワイン、伸びやかな酸味が魅力のワインから力強い骨格を持ったワイン、早飲みタイプのワインから長期熟成能力を備えたワイン…非常にバリエーション豊かなワインが造られています。
気象条件は“ワインの大地”と称賛されたイタリアと比べると、決して恵まれているとは言えません。
そんな中で厳しい法律や格付けを作り、品質向上のために努力を重ねてきたのがワイン王国フランス。
中でもボルドーやブルゴーニュは高級ワインの産地としてよく知られますね。
ボルドー
フランス西部・大西洋に面した伝統産地。
赤ワインが有名。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロを主体に、複数品種をブレンドしたワイン造りが特徴。
“いかり肩”のボトルでおなじみ。
ブルゴーニュ
フランス東部・内陸に南北に広がる。
白ワインはシャルドネ、赤ワインはピノ・ノワールを主体に、単一品種でワイン造りが主流。
“なで肩”のボトルフォルム。
世界的銘醸地として名を馳せる2つの地方。
その気候はというと、温暖とは言い難く雨も降りやすい。
収穫期の雨にも悩まされるためブドウの出来は毎年異なります。
ブドウの作柄が品質に与える影響は大きく、同じ銘柄のワインでもヴィンテージ(収穫年)によって価格が変動するのはこの点から。
上質なワインを造ることは簡単ではありませんが、困難な土地で造り手が努力することによって、品質が高められてきたのです。
世界最高峰のスパークリングワインを生み出すシャンパーニュ地方も同様です。
もともと寒冷な土地柄ブドウを安定的に完熟させることが難しく、試行錯誤の中で生まれたシャンパーニュ製法は、現在では各ワイン産地で上質なスパークリングワイン造りに用いられるようになりました。
フランスの魅力あるワイン産地はこれだけではありません。
フランス北部のアルザス地方やロワール地方、南部のローヌ地方やプロヴァンス地方など、各地方の気候風土に最適なブドウ品種が選別され、食事に合う個性豊かなワインが確立されてきました。
生産量の多さだけでなく、各地の気候風土を反映した高品質なワイン造りに尽力してきたことが、フランスがワイン王国と言われる理由のひとつなのです!
ワイン法の存在
フランスワインを理解していく上で外せないのが「A.O.C.」というワイン法の存在です。
「ワインを造るのに法律が関係するの?!」
…と、初めて聞いて驚かれる方も少なくありません。
フランスでは、1935年にA.O.C.(アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ)というワイン法が制定されました。
日本語では「原産地統制呼称」と訳されています。
その目的は主に次の2点です。
☑︎産地偽装を防止するため
→銘醸地の名前を名乗った偽物ワインが乱造された背景から。
☑︎ワインの品質を維持するため
→詳細な生産基準を満たし、産地の特性を明確に反映したワインを出荷する。
日本でいう「魚沼」や「松阪」のブランドを守るためのもの。
と言ったら分かりやすいでしょうか?
「この産地を名乗るのなら、規定に従ってその土地らしい上質ワインを造ってね」
…ということを謳った法律です。
例えば【A.O.C.ボルドー】とラベルに書くのであれば、当然ボルドー地方で栽培・収穫されたブドウしか使ってはなりません。
産地内で認めているブドウ品種や栽培方法も明確ですし、醸造方法まで様々な規則が厳しく定められています。
また、ラベルに書かれた地名が狭い範囲になるほど「土地の個性」が表現されたものとなり、品質・価格も高くなります。
こうした法律の下でワインの品質保証をしていることにより、
・消費者にとって、信頼してワインを選別する目安になる
・生産者にとって、ワンランク上の品質を目指して努力をする原動力になる。
このような利点が生まれます。
産地のブランド性を守り、その土地らしさを表現したワイン造りを重要視してきたことにより「○○地方のワインと言えばこんなキャラクター」といったことがイメージしやすくもあります。
フランスワイン法A.O.C.の存在は、ヨーロッパ内でワイン法を制定する際の基準にもなりました。
ワインはもともと土地に根ざしたお酒ですから、それぞれの産地の伝統を守り続ける点においても重要な存在と言えますね。
フランスワインが産地の明確なアイデンティティを築いてきた背景として、ワイン法の存在が大きかったことが垣間見えたでしょうか?
フランスから学んで理解を深めよう
ここまでのことをまとめると、フランスワインを最初に学ぶ理由が見えてきますね。
・ワイン生産量はイタリアと並びトップクラス
・価格・個性ともに幅広いワインが造られ、品質を高める努力を続けてきた
・A.O.C.という厳格なワイン法のもと、自国ワインのブランド性や品質に磨きをかけてきた
・新しくワインを造る国にとって、フランスは良いお手本
つまり、フランスワインの知識を身につけると、世界のワインについての理解も深めやすくなるということ。
もちろん世界のワイン産地を見渡すと決してフランス一辺倒ではなく、各地の伝統的なワインや、高品質かつ個性あるワインが多くあり探求するのは楽しいものです。
その一方で、例えばシャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンのように、国際的なブドウ品種にはフランスが原産のものが多く、フランスワインを知ることが基本を押さえるのに役立つということは確かなところです。
レッスンレポート
さて、ここからは先日開催したフランスワインレッスンご報告と、当日人気だった2つのワインを発表していきましょう♪
フランスワインというと、ボルドーやブルゴーニュ、シャンパーニュなどが最初に注目されますが、今回フォーカスしたのはフランス北部と南部に点在する4つの産地です。
・ロワール地方:食事にも合う上品な白ワインを生む
・アルザス地方:酸味豊かでアロマティックな白ワインの宝庫
・コート・デュ・ローヌ地方:太陽の恵みを受けた赤ワインが魅力
・プロヴァンス地方:ロゼワインの一大産地
レッスン前半はオリジナルテキストを使った座学です。
地図で各地方の場所を確認しながら、気候風土とワインの特徴(ブドウ品種やワインのタイプ)を重ね合わせ、郷土料理やおすすめワイン(A.O.C.)などもご紹介しました。
レッスン後半は実践編です。
まずは、フランス語で書かれたラベルを1本ずつ解読するところから。
フランスワインのラベルを読み、どんなブドウ品種が用いられているかをスムーズに導いていくには、ある程度の知識が必要となるのが実際のところです。
今回はその第一歩として、次回からご自身でも実践できるようコツを掴んでもらいました。
続けて、各地を象徴するワインを5種類テイスティングです。
テイスティングアイテム
白①:サンセール・シレックス/ミシェル・トマ
(ロワール地方/ソーヴィニヨン・ブラン)
白②:ゲヴュルツトラミネール/ツィント・ウンブレヒト
(アルザス地方/ゲヴュルツトラミネール)
ロゼ:ミラヴァル・ロゼ/ミラヴァル(ジョリー・ピット&ペラン)
(プロヴァンス地方/サンソー、グルナッシュなど)
赤①:シノン レ・グラヴィエール/
クーリー・デュテイユ (ロワール地方/カベルネ・フラン)
赤②:ジゴンダス/E.ギガル
(コート・デュ・ローヌ地方/グルナッシュ70%、シラー、ムールヴェードル)
白赤それぞれ2種類に加え、今回は講座初登場の「プロヴァンス・ロゼ」も。
写真からも伺えるように、同じ白ワインでもタイプが異なる2種類が並ぶことで、外観にもこんなに違いがあるということがはっきり分かるようになりますね。
そう言った点からも、比較テイスティングはとてもおすすめです。
人気ワインTOP2
テイスティングした後に全員で感じた香りや味わいの共有をして、皆さんから特にご好評だったワインTOP2はこちらです。
白ワインはフランス・ロワール地方の「サンセール」。
ソーヴィニヨン・ブランから造られ、柑橘系フルーツを中心としたアロマにシャープな酸味やミネラルが上品さをもたらす1本です。
爽やかでフルーティ、凝縮感とキレのある味わいが好評でした。
白身魚のカルパッチョや魚介のサラダ、天ぷら塩、焼き鳥塩など、素材を生かした料理にぴったりです。
世界的人気の「ミラヴァル・ロゼ」も、大変ご好評でした!
チェリーやラズベリーの爽やかな香りに、タイムなどハーブの香りやミネラル香が上品に漂います。
滑らかな舌触りにキリッとした酸味とミネラル、じんわりとした旨味に華やかな余韻。
冷製パスタやトマト系、ハーブを効かせたアクアパッツァなど美味しそうですね。
最後に
フランスワインは世界的に有名ではあるものの、フランス語ラベルの読みづらさや高級ワイン産地のイメージが強い点からも「何となくとっつきにくい」という方が多いようです。
ですが、産地ごとのキャラクターやブドウ品種を少しずつ身につけていくことで、他のワイン生産国を学ぶ際にも格段に知識が入りやすくなります。
今や世界各地でワインが造られ、多種多様なワインと出会う楽しみもありますが、フランスにはワインの基本が詰まっていると言えます。
ブドウ品種を軸にしたワイン選びをしていた方も、産地を意識しながらワインを選べるようになることで、より深いワインの世界を堪能できるようになりますよ。
最新レッスン情報など受け取りたい方は、LINEからお友達追加をお願いいたします。
この記事を書いた人
-
個人でワイン講師やオンラインショップ、ワイン通信講座など、ワイン事業を行っています。
「正しく」より「楽しく」ワインを飲める人を増やしたい。そんな想いで日々活動しています。
Instagram:@hiromi_wine
最近書いた記事
- ブドウ品種2024.12.02シャルドネが世界でこんなにも有名な理由【レッスン報告】
- ワイン検定2024.12.012025年ワイン検定(ブロンズ/シルバー)開催情報と勉強法、合格率について
- イベント告知2024.11.262024年のラストを飾るワイン会
- 開催報告2024.11.12大盛況のワイン&フラメンコ茅ヶ崎 開催レポート